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2011年2月13日 (日)

108物語 終わらない夜3

 俺は私立探偵、高杉晋作。
 誰もが一度は聞いた覚えのある名前だ。
 歴史上の同姓同名の男とまったく関係がない。
 俺は生まれた時から、不思議な力がある。
 一度も行ったことがない場所をあたかもそこに存在するように見る能力だ。
 人はそれを『千里眼』というらしい。
  俺は今、尾行の真っ最中である。

 尾行中の男、岩城譲二、IT関連企業グループのオーナー、35才、独身、私生活を一切公開せず。
 依頼者のマリーの兄らしいということだけが、俺に与えられた情報だ。
 今、譲二を乗せたタクシーを俺も拾ったタクシーで尾行していた。
 車は多摩丘陵、右側にゴルフ場を横目に、ずんずんと山奥へとライトをぎらつけさせながら進んだ。
 両側が切り立った崖を越えると、道幅が狭くなり、車一台分がようやく通れる幅のため、時々、駐車待機用のスペースが現れる。
 木々が鬱蒼と生い茂り、満天に広がる星々の光を遮るため、真空の中を二台のタクシーだけが存在するような錯覚に陥る。

 道の終わる場所に大きな鋼鉄製の門があった。
 両脇に同じように鋼鉄製の門柱に蔓が巻きつき、この門がずいぶんと昔から存在することを伺わせる。
 門から先へ進むとどこかで見た西洋館、その建物が都内に建つ、迎賓館に酷似している事を知る人は少ない。
 なぜなら、この場所に入れる人間は稀有なのだ。
 俺は何も知らず、こんな場所へ導かれてきた。
 その中に妖怪じみた人間がいる事もまったく知るよしも無かった。

 大理石の床が続き、湯気が立ち込める温泉プールが青白い光でライトアップされていた。
 プールの中で一匹の獣が凄い勢いで水中を進んでいた。
 その前を全裸の女三人が悲鳴を上げ、懸命に逃げ惑っていた。
 獣は水中から水しぶきを上げ、空中高く飛び上がった。
 全身を黒い剛毛で覆われ、尻から細長い黒い尾が伸びていた。
 顔もまた剛毛で覆われ、耳までも続くと見える口から伸びた舌は、胸まで垂れ下がり、絶えることなく涎を流し続けていた。
 剛毛の中から見える眼は真っ赤に光り輝いていた。
 とうとう髪の長い若いスレンダーな女の髪が獣の手に落ちた。
「きゃー」
 と女は声を上げ、股間から大量に失禁すると気絶した。
 獣の股間から垂直にそそり立った一物は正に怒髪天を突く勢いでそそり立っていた。
 それもまた黒々とした剛毛で覆われ、節くれた様子は丸太を思わせた。
 誰がみてもそのスレンダーな女に挿入などできないと思わせる長さと太さを誇っていた。
「ぎゃー」
 と獣に挿しぬかれた女は絶叫した。
 女は呑みこんだ。
 女のあそこは子供を生むことができる。
 たとえ馬のあれでも挿入できる。
 獣は立ったまま女を貫いていた。
 筋肉質の腰が上へ突き上げる度、女は口から泡を吹いていた。
 それを呆然と見とれていた、二人の女はプールの中で、知れずにお互の下の突起を擦りあっていた。
 獣に対する恐怖はいつしか、畏怖に変わった。
 そして貫かれている女の姿を見た時、女達は欲望を感じた。
 女も勃起する繊細で敏感な性器を持つ。
 大抵は少女の頃に偶然その突起から得られる喜びを知る。
 人知れず夜こっそりと楽しむ。
 勃起することも知るようになると、そこが包皮に覆われ、男のペニスと同じように皮を剥くことでもっと鋭利な喜びを得られること知る。
 男と性的な関係を結び、初めて人の口と舌で弄ばれるとその喜びで狂う。
 しかし、女同士でそこを擦りあった時に得られる喜びを知った女はされらに狂う、コリコリした突起同士の擦りあいほどしっくりいく性技はない。
 周りを包む小陰唇がお互いにぴったりと吸いあい、愛液が濡れぼそり、陰核同士が微妙にぶつかり合う、お互いに頂上を迎えるのを調整しながら、ミクロ単位で触れ合う、一気にその時を迎えると包皮から真っ赤に熟した女自身が相手の包皮めがけてぶつかり合う。
「ああ」
 プールで激しく絡み合っていた女達が痙攣したようだ。

 プールの脇で車椅子に乗った老人がこの光景を見ていた。
 膝にブランケットを掛け、両手をしっかりと膝の上で握り締めていた。
 その指は枯れ枝のように見えた。
 顔に刻まれた深い皺と褐色の肌、長髪の白髪が肩に掛かっていた。
 プールの入口に黒服を着た男が小走りに現れた。
「エトー様、お客様がおいでになったようで」
 車椅子の老人は片手を挙げた。
「新王よ、静かにしておいで」
 その声を聞いた獣は股間から女をプールに投げ捨てた。
 獣はプールから外へ出るドアを開け、闇に消えた。
 老人の後ろに回った黒服が車椅子を押し始めた。
「譲二も探偵一匹誘い出すのにずいぶん手間をかける」
 急に老人は笑い出した。
「ようやく、わしが亡くした物を取り返す時が来たようだ」
 永遠に続くかと思われる絨毯の上を車椅子が進んでいた。

 俺は譲二とともにタクシーを乗り捨て、満天の星の下で対峙した。
「探偵さん、この先へ同行してもらうよ」
 思った通り、俺は罠に嵌められたようだ。
 まだスターダストを見つけられずにいた。

 (続)

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